Rはフリーの統計解析ソフトで、Sageのパッケージに付属しており、SageからRのコマンドを実行するための インターフェースも用意されています。
Rの特徴に以下のものがあげられます。
ここでは、SageからRのコマンドを使用する場合の注意点とRインタフェースの使用方法に説明します。
SageからRのコマンドを使いやすくするために、以下のユーティリティ関数を用意、RUtil.sageに納めました。
load関数を使ってRUtil.sageを読み込みます。
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Rとのインタフェースとして、r関数が提供されています。 r関数では、Rのコマンドを文字列で与えます。Rのコマンド内でダブルクォートを使っている場合には、シングルクォートでくくり、 Rのコマンド内でシングルクォートを使っている場合には、ダブルクォートを使って指定します。
r('Rのコマンド')RのコマンドにSageの変数の文字列を代入する場合には、以下のように%を使ってセットします。
r('Rのコマンド1%s, Rのコマンド2%s' % (変数1, 変数2))上記の例では、1番目の%sが変数1に、2番目の%sが変数2の値に置き換わります。
r関数の例として、Rで計算させた2のsqrtの結果を出力します。Rの出力では最初に[1]のように番号が付いて 表示されます。
[1] 1.414214 [1] 1.414214 |
関数定義やRの制御コマンド(ループやif文等)を含む複数行のRコマンドをSageから実行する場合には、 ファイルにまとめてワークシートにアップロードして使います。
例でとしてmystats.txtに以下のように自乗を計算するx2関数を書いておきます。
x2<- function(x) { return (x^x) } x2<- function(x) { return (x^x) } |
ファイルに定義されたRのコマンドを読み込み評価するには、Rのsourceコマンドを使用します。
以下の例では、mystats.txtに書かれたx2の関数定義を実行し、リストlの各要素に関数x2を適応しています。
[[1]] [1] 1 [[2]] [1] 4 [[3]] [1] 27 [[1]] [1] 1 [[2]] [1] 4 [[3]] [1] 27 |
SageとRとの連携で重要なポイントはSageの変数をどうやってRに渡すかです。
以下の例では、変数slに[1, 2, 3]のリストをセットし、これをr関数に渡しています。 このままですとrlに返されるRElementオブジェクトの名前がSagexxのように自動で 割り当てられてしまします。
そこで、name関数でRにおける変数名を指定します。
rl = r(sl).name('l')説明でRの変数とSageの変数を混同しないようにRでの変数名をlとし、r関数の返した 値をrl変数にセットします。
出力結果から、r('l')で正しくslのリストがRに渡っていることが確認できます。 また、rlのタイプは、sage.interfaces.r.RElementであり、その値の出力結果は r('l')と同じであることも確認できます。
[1] 1 2 3 <class 'sage.interfaces.r.RElement'> [1] 1 2 3 [1] 1 2 3 <class 'sage.interfaces.r.RElement'> [1] 1 2 3 |
リストの次にRでよく使われるのがマトリックスです。 例として、r.matrix関数を使って[1, 2, 3, 4]のリストから、2x2のマトリックスを作成します。 byrow=Trueとすることで、Sageと同じ行単位での配置を指定しています。 (RではFORTRANの影響で列単位で配列を保持しています)
[,1] [,2] [1,] 1 2 [2,] 3 4 [,1] [,2] [1,] 1 2 [2,] 3 4 |
Rに定義された変数mの値を出力すると、上記の出力と同じことであることが確認できます。
[,1] [,2] [1,] 1 2 [2,] 3 4 [,1] [,2] [1,] 1 2 [2,] 3 4 |
次にRのマトリックスをSageのマトリックスに変換する方法を示します。
先に定義されたRのマトリックスmをsageobj関数を使ってSageのマトリックスに変換します。 以下の例では、r('m')で返されたRElementをsageobjでSageの変数smに代入し、 その値とタイプを確認しています。smは正しく変換され、smのタイプも sage.matrix.matrix_integer_dense.Matrix_integer_denseとなっていることが 確認できます。
<class 'sage.interfaces.r.RElement'> <type 'sage.matrix.matrix_integer_dense.Matrix_integer_dense'> <class 'sage.interfaces.r.RElement'> <type 'sage.matrix.matrix_integer_dense.Matrix_integer_dense'> |
Sageの変数smからRのマトリックスに変換する場合には、listメソッドを使ってマトリックスsm をリストに変換し、smの行、sm列を使ってRのマトリックスに変換します。
[,1] [,2] [1,] 1 2 [2,] 3 4 [,1] [,2] [1,] 1 2 [2,] 3 4 |
残念ながら、Sageの文字列リストは、そのままではRの文字列リストに変換されません。 そこで、文字列リストをstr関数を使って文字列に変換し、最初[と最後の]を取り除いて、 r('c(%s)'%文字列リスト)を使ってRの文字列リストに変換します。
'a', 'b' [1] "a" "b" ['a', 'b'] 'a', 'b' [1] "a" "b" ['a', 'b'] |
Rのプロット関数を使う場合には、preGraphとpostGraphで挟むようにします。
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上記と同じことをRの関数dnormの値を使ってSageのplot関数でプロットした例を以下に示します。
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次に、r.plotを使ったプロットの例を示します。X軸にage、Y軸にweightを表示します。 r.plotにX, Yにsageの変数age, weightを使った場合、軸ラベル名にsagexxのような 名前が表示されます。
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age, weightにnameコマンドでRの変数名をセットすると、軸ラベルがage, weightと 表示されます。
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Rのplot関数にタイトル等のオプションを指定する場合には、r関数を使って以下のように表示します。
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Rの得意とする集計処理を以下のようなデータファイルを読み込み、 クロス集計を作成してみましょう。
diabetes status Type1 Poor Type2 Improved Type1 Excellent Type1 Poor diabetes status Type1 Poor Type2 Improved Type1 Excellent Type1 Poor |
データファイルの読み込みは、Rのread.table関数を使用します。 header=Tを付けて、1行目がヘッダであり、 1列目がdiabetes、2行目がstatusと名前付けします。
diabetes status 1 Type1 Poor 2 Type2 Improved 3 Type1 Excellent 4 Type1 Poor diabetes status 1 Type1 Poor 2 Type2 Improved 3 Type1 Excellent 4 Type1 Poor |
クロス集計には、table関数を使用し、データセットdの変数、 diabetes, statusを指定します。
Excellent Improved Poor Type1 1 0 2 Type2 0 1 0 Excellent Improved Poor Type1 1 0 2 Type2 0 1 0 |
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